綿矢りさ「インストール」河出文庫

学校生活＆受験戦争からドロップアウトした主人公・朝子はゴミ捨て場で出会った大人びた小学生と押し入れにこもり、チャットレディ・雅子の替わりに日々をエロチャットで過ごすようになる。

いやもうあらすじのまんま。妙に行間があいてて、ページ稼ぎかよ読みにくいしみっともないと思ってたらこれ400円しないんだな。じゃあいいや許す、みたいな。今さら綿谷りさかよ、というのはおいといて、転から結までが異様に短い。最近こういう小説が多くて、これが流行のスタイルなんだろうか。（そういえばAMEBICのときもそんなふうに思ったように記憶している）確かにクライマックスは短い方が臨場感あるんだろうけど、おお？　あ、うん……え、終わり?!　みたくビックリするんですが。私の中で終わる準備ができてないんですが。

この本に収録されている『You can keep it.』もそうだった。このさりげなさがいいのかなあ。自分が何者にもなれない閉鎖感とかはもっとうまく書く書き手がいそうな感じなんですが、彼女の場合は絶妙な低空飛行という感じで、暗くなりすぎず尖りきらないところがいいのかなあ。あざとさはあまり感じないけどでも炭酸飲むあたりとかあんなに賢い小学生が気づかないわけないでしょとか思うんだけどー。やっぱりうまく分析できないな。