二三枝俊「フライング・ソフトクリーム」

野性時代青春文学大賞候補作。

左腕をなくしたヒソシはゴンジイとともに盗い入った家で、母親をかばい、成り行きとして子どもを拾って、世間から逃げ回ることになる。優柔不断なところがそっくりな少年・ヒロシ。神社で寝泊まりするうちに熱を出し、ヒソシは黙って家を出た、一本足の元恋人・ミサキを尋ねる……。

作者はもしかしたら文章のテンポみたいなものを考えているのかもしれないが、ちょこっと滑り気味。テキストは「りはめ…」のほうが断然うまい。あと、ストーリーもばらばら分散してる気になる。後半、ソフトクリームがたった、だからなんなのという。作者の意図がよくわからないのですが……読み飛ばし過ぎ? 私がつかめてないだけなのかなー。他にもあんた何がやりたかったんだってところもあって、これはヒソシが重圧された想いを語るところなんじゃねーのと思った。シーンじたいはそれほど悪くない気がします。ミサキの跳び蹴りのところは、すごく鮮やか。