イッツ・オンリー・トーク気がつくと雨が降っていた。朝からおなじみのキシリトールガムをくちゃくちゃやっていたものの、何も食べないと体力が落ちて結局何も書けなくなるので近所のデニーズで野菜スープを飲み、絲山 秋子『イッツ・オンリー・トーク』をだらだら流し読みして、唐突に蒲田に住みたくなった。

病院の芝生のそばで猫が鳴いていたので、ごまプリンをスプーンですくっては投げて与えた。首輪がないから野良なのかもしれない。あるいは、病院猫とか。病院猫? そんなものいるのか。だが、よく駐車場やその辺でニャーニャーしてるのを目にするので、病院を寝ぐらにしている猫は確実に存在すると思う。鼠でも捕っているのか、それとも日々大量に排出されるゴミを漁っているのか。ホームレスが公園の鳩にするように芝生のベンチでひなたぼっこしている患者から菓子でももらっているのか。それでもこんなに寒い冬の日に餌を探さなければならないとは猫も難儀だ。おいしそうに白いプリンの付いたコンクリートの床を舐めるのでそのままカップを置いた。少し歩いて振り返ると、猫はちらちら人を気にしながら頭を突っ込んで私の食べ残りを食べていた。楕円形の青みがかった目やふわふわした白い毛は思ったより悪くなかったものの、やはり猫はかわいくないなと思う。犬は散歩していても尻尾を振って通行人に愛想を振りまくが、こうやって幾ばくかを恵んでやっても猫は頭を撫でられる位置にさえ、寄って来ない。