試験前で全てがあわただしいなか内科学と外科学を受けて小林君を見た。

顔見知りの後ろの席に座り、ちょっと離れたEさんとメールで連絡を取りながら後ろをちらちらしていたのだが、

「何なに? 由無さん何しに来たの?」

「ちょっと人を見に……」

「うん? 誰だれ誰? 知ってる人?」

「知らない。名前だけ知ってる。顔知らない」

「え、それ駄目じゃん!」

「そうなんだよねー」

だが、見た。

優良物件だった。

合いそうだったら私がEさんの代わりに何かにかこつけてご飯でも行こうよ! (タメ語&超フランク)と言うつもりだったんだけど、私の好みとは全く違うどころか、一見した限りでは私の苦手なタイプだったから、いろいろ焚きつけといてなんだけど、私の手に負える案件ではないなと思った。でもやるとしたら今しかない、春になればふやけたかわいい一年生が溢れんばかりに集まってくるのだろうから。

内科学と外科学は思いのほか面白く、私できそうじゃん? 頭良いんじゃん? って妄想にしばし駆られて質問までして先輩に笑われた。絶食療法とか面白いな。私の場合、たくさん文章に書くことで少しは自分を客観視できるようになったから、あまり必要ないかなとは思うけど、それでもやってみたい! だが、もうちょっと講師は滑舌良くしないとさ、そりゃ寝るよなみんなさーっていうね。同じ科の講師に明日会うからそれは伝えておこう。